再生への備忘録49

 オーストラリアの哲学者であり、人智学者のルドルフシュタイナーが1923年にドイツで行った「養蜂家のためのみつばち講義」をまとめた文献を読んでいます。この文献は、私がいままで読んできたあらゆる書物の中で最も難しく、理解するのが大変です。シュタイナーの書いた本はどれも、難しいテーマを難しく表現していますが、そういった文章を読む事は思考力を養う最高のトレーニングになります。

 ところで、100年近く前の文献の中でシュタイナーは、「みつばちの分蜂は、新女王が飛び出し、旧女王が留まる」と述べていますが、現代では、これが誤りである事が分かっています。また、シュタイナーに限らず、古い文献には、「事実と違う」事が書かれている事がよくあります。

 私は、20代の時に、シュタイナーの世界観に惹かれ、彼の述べる ことにこそ真実があると確信しながらも、常に過去の文献として批判的に読むことを心がけています。全ては仮説に過ぎないからです。

 いま、私たちが信じている世界も全ては仮説です。遠心分離機が効率的なのも、雄蜂は生殖以外に何もしないのも、みつばちに砂糖を与えるのも、王台を切って分蜂を抑制するのも、全て、現代というこの時代の仮説に過ぎません。いま信じられている事象に対する批判的なアティテュードを失った時点で、真実からは遠ざかり、人間の成長は止まります。

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