再生への備忘録60

 今年の9月からホームページを作っています。それは、ハチミツを販売する事を目的としたものではなく、養蜂に関わる活動を発信する為のウェブサイトです。また、パソコンからよりむしろ、スマホからアクセスしやすい作りを意識しています。

 インターネットへの常時接続が当たり前の現代に於いて、何がリアルで何がバーチャルなのか分かりにくくなっています。無数の情報が渦巻いているように見えるインターネットの世界も、大きな流れは、グローバル企業の、「ある種の」思惑によってコントロールされています。

 ところで、私は長い間、アナログの世界だけを信じていた人間ですが、最近は考え方が変わってきました。ある時、人間が創りあげたインターネットの情報伝達のシステムが、ミツバチのコロニーや、人間の脳のシナプスのように、有機的なものに思えたからです。

 リアルとバーチャル、アナログとデジタルの境界線が曖昧になり、もはや人間の五感だけを頼りに生きていくことができない時代になりました。今年も残すところあと2週間。第六感(sixth sense)をしっかりと覚醒させなければなりません。

再生への備忘録59

 昨日は、東京にて、来年使う巣箱の設計打ち合わせ。ミツバチにとって快適な居住空間を作るために、打ち合わせには、落葉樹の植樹をやりながら里山再生をしているNPO法人の方や、茶箱などの箱物作りを得意としている30代の木工職人が交わり、白熱した議論が展開されました

 ところで、現在日本で使われている、西洋ミツバチの巣箱は、1900年代に、渡辺寛氏(現渡辺養蜂場の創始者)がアメリカから導入した「ラ式(Langstroth hive)」と呼ばれる枠式巣箱が元となっていますが、世界には、実に様々な養蜂巣箱があり、素材や形、大きさなど、千差万別です。

 ラ式(ラングストロース式)、ローズ式、ナショナル、ジャンボなどの近代的な巣箱から、100年前にフランスの修道僧が作った「ワレ式巣箱(warre hive)」、「横置き巣箱(horizontal hive)」、「藁で作った巣箱(skep)」など、巣箱には、養蜂家の思想やアイデアが詰まっています。

 巣箱の設計や製作には、養蜂やミツバチの事以外にも、材木や製材に関わるあらゆる事や、箱作りや建築的な知識も必要です。また、養蜂を業としてやっている以上、コスト計算を無視するわけにはいきません。来年は坊ノ内養蜂園が開業して10年目になりますが、これから作る巣箱には養蜂園のコンセプトが反映される事になります^_^

再生への備忘録58

 つくば国際会議場で3日間行われていた「ミツバチサミット」。最終日の昨日は、私が関わっている養蜂プロジェクトのメンバーの若手養蜂家と一緒にシンポジウムを聴講したり、ポスター展示を見たりしました。

 シンポジウムでは、バロア耐性を持つ女王蜂の系統選抜の手法や、プロポリス、ローヤルゼリーの新しい知見など、興味深い演題を聴講する事が出来ました。また、ポスター展示では、大学と行政がコラボして取り組んでいる農福連携事業が目を引きました。アフリカの養蜂支援団体の方とは、プリミティブなケニア式巣箱の知られざる実態(笑)を聞く事ができました。

 話は脱線しますが、お金に興味がない、あるいはお金を使わない人にとって、紙幣は単なる紙であり、本は読まなければ、ただのモノです。絵画や彫刻も、そこに何も感じなければ、やはりただのモノに過ぎません。最新の情報も、科学的知見も、注意や関心を向けなければ、何の意味を持ちません。情報に意味があるかないか、全ては自分の意識の問題です。

 午前中でシンポジウムは終わり、午後は高校時代の友人と会食をしながら、いつものようにミツバチ談義と、新しいプロジェクトの打ち合わせをしました。その中で彼は「巣門の前のミツバチの出入りをよく観察する事こそが重要だ」と言っていましたが、この言葉を聞けた事が、私にとって最大の収穫でした^_^

再生への備忘録57

 昨日はミツロウのキャンドル作りワークショップにゲストとして参加してきました。越冬前に使わなくなったミツバチの巣を精蝋して作ったミツロウを使ってキャンドルを作るワークです。参加者の方々は、楽しくおしゃべりをしながら、ゆっくり流れる時間を楽しんでいました。

 ワークの終わりに、部屋の明かりを落とし、出来上がったキャンドルに火を灯しました。参加者の方々は、キャンドルのちいさな光を囲むように座り、私はその真ん中に立って、一人一人に語りかけるように、ミツバチとミツロウの話をしました。

 ミツロウで作ったキャンドルの光は、焚き火の光や夕焼けの光と同じく、やや赤みがかっていますが、このような長波長の光は、人間の意識を覚醒から内省へとシフトさせます。1日の終わりに内省し、自分と向き合うことの大切さを伝える事が話のテーマでした。

 キャンドルの光を眺めながら、自分自身と会話する時間は尊い時間です。外に向かっていた意識は穏やかに沈静化し、徐々に自己意識へと向かっていきます。エゴは薄れ、すべてを受け入れられるようになります。そして、自己意識に目覚めた人には、まるで焚き火の光のように人が集まり、人を癒してゆく事ができます。それがミツロウの光のマジックです^_^

再生への備忘録56

 昨日は、つくば国際会議場で行われている「ミツバチサミット」に参加してきました。ミツバチサミットは、2017年に第1回目が開催され、今年で2回目の開催になりますが、学術的で専門的なシンポジウムだけでなく、子供向けのイベントや、はちみつに関心がある一般の方向けの展示などもあります。もし、興味があれば、是非足を運んでみてください。今週の日曜日まで開催されています。

 私は、昨日夕方から行われた「世界各地の養蜂事情」というシンポジウムの中で、3人の演者の1人として発表をしました。いま、世界で行われているグローバル企業の養蜂プロジェクトを紹介した上で、企業のCSR活動(corporate social responsibility)が、社会的価値と経済的価値の双方を生み出し、現代が抱える環境問題などの社会問題の解決につながってゆくという内容でした。

 日本でCSRというと、単純に「CSR=社会貢献」だと認識されていて、「企業の本業とは関係がない、義務として追加的に実施されるもの」と思っている経営者が依然として多い気がします。その認識を変えるのが今回の演題の目的でした。

 海外のCSR先進企業は、経営者や従業員だけでなく、顧客や地域のコミュニティ、NPOや一次生産者といった社外の人々とも積極的に連携し、環境や社会の持続可能性に貢献しているだけでなく、中長期的に、利益を生み出す仕組みを構築しながら、企業自身の持続可能性を模索しています。次回のミツバチサミットでは、日本の企業が行う、「ミツバチ目線の」CSR活動を発表できるように、取り組みを推進していきたいと思います。

再生への備忘録55

 昨日は、はぁもにぃ養蜂部の活動日でした。利用者さんの送迎はいつも妻がやっているのですが、昨日は都合で私が送迎でした。利用者さんは、私が方向音痴であることを良く知っていて、運転中は、あれこれと指示を出してくれましたが、ナビゲーションの指示と違う指示を出すので私はパニックになりました。「船頭多くして船山に登る」という状態です。

 ところで、私の友人は、方向感覚がある人と、全くない人に2分されますが、パートナーとなる人は、総じて方向感覚があり、友達となる人は総じて方向音痴です。方向音痴の人は私を含め、目的地に着く事を目的とせず、体験こそを人生の目的としているからかもしれません。

 右に行けば右の体験があり、左に行けば左の体験がある。それだけの事です。自分が選んだ道を行った、その結果が目的地であったという、ただそれだけのことです。最初に定めた目的地など、出発するための大義名分に過ぎません。

 いま、目の前に2つの道があると示されました。どちらの道を進めば、ワクワクするような体験が出来るのか、そればかりは、誰もナビゲートしてくれません。自分自身に聞くしかありません。ワクワクする道を選択し続けた結果、辿り着くであろう場所が、人生の目的地です^_^

Bees for Development JOURNAL

再生への備忘録54

 坊ノ内養蜂園の蜂場にある小さな山羊牧場にオス(ゴロー)が来て10日経ち、いよいよメス(ユキ)と交配させる事にしました。いま交配させると、うまくいけば来春に子ヤギが生まれます。交配はあっという間に終わりました。

 ところで、ミツバチの女王は春に数十匹のオス蜂と交尾しますが、交尾する時間は、午後の特定の時間であることが確認されています。また、オス蜂の集合する場所はDCA(Drone congregation area)と呼ばれ、日本でもDCAの場所の特定がなされています。

 過去に神秘とされていた事は、科学や実験によって少しずつ解明されていますが、なぜ、なんのために命が生まれるのかという根源的な問いに対して、科学は答える事は出来ません。これは、哲学や宗教の分野です。

 何はともあれ、これからゴローとユキの蜜月(Honeymoon)を見守っていきたいと思います。別に私が見守る必要はないのですが ^_^

再生への備忘録53

 昨日、我が家の郵便ポストに、玉川大学から封書が届きました。「第42回ミツバチ科学研究会」のお知らせです。来年は2020年2月15日に開催との事でした。毎年この葉書が来ると、新たな気持ちになります。

 ところで、私がまだサラリーマンをやりながら、趣味で養蜂に取り組んでいた2010年に、高校時代の同級生に誘われて、初めてこのシンポジウムに参加した事をいまでもはっきりと覚えています。その時の特別講演が、その後の私の養蜂哲学の基本となったからです。

シンポジウムの最後に行われたその講演は、「Bees for Development JOURNAL」の編集長であるニコラ・ブラッドベアさん(Nicola Bradbear PhD)によるものでした。養蜂経験が浅いその時の私は、ニコラさんが言う言葉の真意を汲み取る事は出来ませんでしたが、最後の言葉を聞いた瞬間に「来て良かった」と、友人に感謝した事を覚えています。

 英語力に自信がない私は、会場のマイクで彼女に質問をする勇気がありませんでした。あれから10年の歳月が経ち、いまもう一度「Bees for Development JOURNAL」のバックナンバーを読み直しています。

再生への備忘録52

 私は1970年生まれで、第2次ベビーブームの世代です。高度経済成長の真っ只中に生まれ育ち、偏差値教育の洗礼を浴びながら、早くから競争社会の中で生きてきました。一所懸命勉強し、一所懸命働けばいつか幸せになるという、未来の為にいまを犠牲にするという価値観が、世の中に広がっていました。

 40歳になった時、「高度経済成長は結局のところ、人間に幸福や満足感や、社会に対する貢献感をもたさなかったのではないか」という思いが強まり、会社を辞めて、システムからドロップアウトし、好きに生きる事にしました。いまこの瞬間に幸せを感じる事が出来なければ、一体いつ幸せになれるのかと思ったからです。

 「何かおかしい」と感じる人々が増えてきています。お金やステイタスより、充実感や貢献感を求めて、大企業ではなくNPO法人に就職する若者や、脱サラして、社会貢献ビジネスを立ち上げる中高年も増えてきています。Fastな社会からSlowな社会へのシフトダウンがようやく始まりました。

 50歳という人生の節目に、大きな時代の変革期を体感出来て嬉しく思います^_^

再生への備忘録51

 日頃お世話になっている知り合いから山羊小屋を譲っていただく事になり、雪が降る前に小屋を移設しました。冬の青空の中、ユニックで吊られた山羊小屋を眺めながら、いつの間にか空が高くなっていた事に気付き、季節の移り変わりの速さに愕然とした次第です。あれからもう3ヶ月が経とうとしています。

 私の人生は、台風15号以前と、以後の2つに完全に分かれています。台風15号に遭うまでは、いつも自分の人生に不足している何かを探し、それを補う事にエネルギーを使っていました。自分の価値観に執着し、アイデンティティに拘り、好きなものは取り入れ、嫌いなものは排除するという二極の世界でもがいていました。

 物質的に多くのものを失ったと同時に、拘りや執着心も綺麗さっぱりなくなりました。足りないものは何もない事もわかりました。目の前の現実は自分の想念が作り出しているイリュージョンであって、実体はなく、心配する未来など、どこにも存在しないのだという事も伝えられました。台風15号に対しては感謝以外の言葉が見つかりません。

 季節の移り変わりのように人生は短く、人間の一生など、おそらく星が瞬くほどの小さなものなのだと思います。今年も残り1ヶ月。何かと忙しい時期ではありますが、ゆっくり深呼吸をして、自分自身と向き合いながら過ごしたいと思います。