再生への備忘録27

秋も深まり、冬の足音が聞こえはじめると、何故か決まって話をしたくなるテーマが、この時期にミツバチ達の貴重な蜜源となっている「セイタカアワダチソウ」の話です。セイタカアワダチソウというのは、環境庁が「侵略性特定外来種」に指定し、駆除の対象としている、北米産の雑草です。学識者からは、「日本の里山の生態系を破壊し、在来植物を駆逐している」と悪者扱いされ、一般の人からは、「花粉症の原因となる」として、グリホサートなどの除草剤をかけられているセイタカアワダチソウですが、それでも、毎年、秋に力強い黄色の花を咲かせ、ミツバチはその蜜や花粉を蓄えて、長い冬に備えます。
それを考えた時、私は「侵略性」という言葉に非常に大きな違和感を感じてしまいます。セイタカアワダチソウは必要があってそこに存在していると感じられるからです。実際にきちんと観察していればわかる事ですが、セイタカアワダチソウの花が咲き誇っている場所は、耕作放棄地や道路の中央分離帯、砂取場など、人間による大規模な介入があった土地であって、伝統的に適正に管理された農地や里山には一本も生えていません。一歩踏み込んで言うならば、長年の施肥によって、リン濃度が高くなった農地や、pHが高くなり、在来植物が育たない土地に、限定的に根を張ります。セイタカアワダチソウは環境を破壊しているのではなく、また、在来植物の生息域を侵略してのでもなく、「あるべきところに花を咲かせている」だけな
のです。ところで、「雑草という名の草はない」という昭和天皇の言葉がありますが、この言葉が好きです。すべてのものには名前があり、あるべきところに存在する。ただそれだけの事だという実感は、年を重ねるごとに深いものになっています。

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