再生への備忘録36

 晩秋になると、蜂場の至る所で盗蜂が起こります。盗蜂というのは、強群のミツバチが、弱群のミツバチのコロニーを襲って貯蜜を奪うという現象です。

 盗蜂というのは実に厄介で、蜂場の中で、AからB、CからDと蜜が移動しているだけで、蜂場のGDPは全く増えないどころか、盗蜂で起こった蜂群同士の戦争で多くのミツバチが犠牲になったり、最悪いくつかの蜂群を失う事になります。また、一度「盗む」味をしめた蜂群は、盗蜂癖が付き、次から次へと盗蜂を繰り返します。盗蜂癖はなかなか治りません。

 ところで、「純粋理性批判」という、カントが書いた難しい本がありますが、カントは自身の平和論を語る中で、ミツバチの盗蜂を引き合いに出しながら、こう語っています(少々文書を変えています)「盗蜂という現象は、人間間の戦争のように、他民族を併合して自らを増強しようとするのではなく、策略や暴力を用いて、他の蜂群の労働の成果を自らの為に利用しようとするものである」と。

 一方、私の目に盗蜂は、併存したミツバチの国家の富が自然淘汰によって均一化され、また、蜂場の巣箱が適正群数に向かうための単なる自然現象にしか見えなかったりします^_^

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です